虎キラー

セ・リーグ阪神0−7中日、22回戦、阪神11勝10敗1分、16日、甲子園)優勝マジック点灯目前の猛虎の前に立ちはだかったのは、25歳の若き奪三振王だった。中田が阪神打線を8回6安打無失点に封じて13勝目=写真。打っても四回に2点目をあげる適時打。「すべては、中田だろ」。落合監督の言葉に信頼感がにじみ出た。

 「自分を信じて、腕を振って投げました。打たれたらしようがない。そんな気持ちでした」

 2点リードの八回に一死満塁の大ピンチ。浜中にカウント0−2とボールが先行したが、150キロの剛球3連投で追い込み、宝刀フォークで空振り三振。続く葛城には、この日128球目でMAX153キロをマーク。無限のスタミナと充実した気力で左飛に打ち取り、任務を果たした。

 「感覚がよくなってきたんですよ」

 今春の沖縄キャンプでフォークボールの元祖、中日OBの杉下茂氏(82)から、「真っすぐのように、腕を振って投げるんだ」と極意を伝授された。その独特な感覚が、やっと体に染みついてきた。この日の11奪三振を加え、今季通算161奪三振。巨人・内海(154奪三振)を抜き、再びリーグトップに躍り出た。

 プロ通算28勝中、阪神戦に8勝の実績をもつ虎キラーは、28日の阪神との今季最終戦(甲子園)にも登板予定。「優勝争い? 最後まで行くでしょ」と落合監督。連覇に向けたデッドヒートの最終コーナーで中田が再び、虎打線を沈黙させる。


(喜瀬雅則)
SANSPO.COM

 やっぱ、得意不得意はありますものね。